先日、とても印象に残るニュースがアイドルヲタクの間を駆け巡りました。
まずはこのブログを読んでみて下さい。
要約すると
ソロで活動している女性アイドル(と言っても差し支えないでしょう)の有坂愛海さんを約10年間ずっと推し続けていた55歳の男性ファンが、とある手術を受けたのを境に現場に来なくなったのを心配に思って、自宅を探して訪れたら亡くなっていたので、追悼ライブをやる事になった。
というものです。
この記事は、本当に考えさせられる事がたくさん書いているのでぜひ全文を読んで下さい。
そして、このブログでもこの事について考えてみようと思います。
アイドルとヲタクの関係とはなんなのか
アーティストとファンの関係ってなんなんですかね
十年間思えば毎日のように会っていたのに
家族よりも顔を合わせていて
振返れば電話番号も知らないんです。
冒頭からアイドルとヲタク(原文では「アーティストとファン」ですが、ここでは「アイドルとヲタク」という言葉で話を進めさせてもらいます)の関係性について疑問を提起しています。
そうなんです。
アイドルとヲタクが会う頻度というのはガチで推している場合は
恋人 < アイドル < 家族
くらいには会っているんですね。
それだけ頻繁に会っている(厳密にはライブを観に行ったり接触イベントでわずかな時間で会話をするだけだったりもしますが)にも関わらず、相手の住所はおろか連絡先も知らないというのはかなり特殊な関係だといえましょう。
もちろん、本名も知らない事が多いかと思います……。
有坂愛海さんは事務所に所属せずに全てセルフプロデュースで活動している(自分以外に迷惑をかける事がない)という立場もあり、急に姿が見えなくなった「おっきゃん」さんというヲタクに会いに行きました。
通販とか年賀状とかでファンの個人情報を知る機会もあるけど
でも、おっきゃんに関しては知らなかったんだよね。
あの駅が最寄って言ってたよね、とか昔聞いた本名とか
そんな情報の断片を集めて。10年分の予約メールのどこかに、電話番号書いてないかなとか
mixiから昔のメアドから10年分全部読むという途方もない作業をして
どんなときも応援されていて本当に何回来てくれたんだろうと思い返した。
おそらく「おっきゃん」さんというヲタクは、有坂愛海さんの事を見守るような立ち位置で推していて、「俺が俺が」みたいな自己主張が激しい、いわゆる険しいヲタクではなく、有坂愛海さん本人とも10年間でかなりの信頼関係を築いてきたであろう、とてもいいヲタクだったのでしょう。
しばらく現場に顔を出さなくなった自分の事を探しに来てくれるアイドルというのは、今回の件ではいささか不謹慎ではありますが、ヲタク冥利に尽きるのではないでしょうか。
「推す」という意味
記事はまだまだ続きます。
ついに探していたヲタクの死を知った有坂愛海さんは、こうも書いています。
「いつまでも応援してるよ」
文字通りデビューから10年、11年かな
ずっと応援してくれて
おっきゃんの存在は永遠になったから
「いつまでも」は「いつまでも」だね「生涯有坂」ですか。死ぬまで有坂を推した男。
伝説かよ。
結構おもしろいし、かっこいいね。
これまた不謹慎ではありますが、死んだ後に推しにここまで思ってもらえるのは、相当うらやましいのではないでしょうか。
不謹慎ついでに言ってしまえば、僕もこういうヲタクになりたいと思いました。
たぶん無理だとは思いますが。
ライブ会場での出待ちや入待ち、接触イベントでの剥がしに対抗した粘り。
そういう目先の利益の誘惑に負けてしまうようなヲタクには一生到達できない境地を感じます。
ヲタク側ではなく、アイドル側から「あのヲタクに嫌われているとは思えないから」なんて思ってもらえるなんて、なんて、なんて。
なんて素晴らしい事なんでしょうか。
追悼ライブについて
そして有坂さんは、10年間という長期間を共に戦ってきて志半ばにして倒れた(この表現が正しいのかは自信がありません)おっきゃんさんの追悼ライブをやるそうです。
お時間のある方は行ってみてはどうでしょうか。
アイドルが今までずっと推してくれていたのに亡くなってしまったヲタクのために追悼ライブを企画したのに、そのライブをいちばん楽しみにしているであろうヲタクが亡くなっているがゆえに参加できないの、本当に悲しいし他人事なのに涙がボロボロ出ます……。
まとめ
アイドルというのは基本的に2パターンあると僕は考えています。
それは
ヲタクの事を好きでいて(いつもお金を払って応援してくれてありがとうね)と思ってくれるアイドル
ヲタクの事を気持ち悪い(だけどお金を払ってくれるから我慢しよ)と思っているアイドル
です。
可愛い女の子が歌って踊っているのを勝手に推すのが「アイドルヲタク」という趣味です。
なので、推されるアイドル側にもいろんな考え方があると思います。
どうせなら、前者のアイドルを好きになって推したいものです。
そして、この記事の最初に挙げた有坂さんの記事や追悼ライブの記事を読んで、僕はこう思いました。
どうせなら、アイドルに信頼されるヲタクになりたい
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