読むと麻雀が強くなると評判の漫画「打姫オバカミーコ」の不思議な魅力

「打姫オバカミーコ(うたひめオバカミーコ)」という麻雀漫画をご存知でしょうか。
そんじょそこらの麻雀戦術書が束になってもかなわないくらい、読むだけで麻雀の腕がメキメキと上達するという、素晴らしい漫画です。

説得力のある、いわゆる「何を切る?」、女流プロに重きを置いたストーリー、ほんのちょっぴりロマンスありと、本当に魅力的な作品です。
まずは1枚の画像を見て下さい。
ミーコ魅力
ちょっとクセのある絵柄ですが、ヒロインの丘葉 未唯子(おかば みいこ)です。
僕はメチャクチャ可愛いと思いますが、人を選ぶかもしれませんね。
麻雀が好きで、このヒロインにビビッときたら、ゴーサインです。ぜひ読みましょう!
読んで後悔することは決してありません。

しかしながら、ページのほとんどが麻雀牌で埋め尽くされている漫画です。
麻雀のルールを完全に理解していないと、この漫画の面白さはほとんど理解できないでしょう。

「麻雀戦術書」としてはとても役に立つ漫画ですが、「麻雀入門書」としての機能はほぼゼロです。

あらすじや登場人物はこちらのサイトを読めば済むので、丸投げしてしまいます。

今回はこの「打姫オバカミーコ」についての感想を、少しだけ書いてみたいと思います。

ここから先は、全巻を読み終わった人を対象にした完全ネタバレのオンパレードになりますので、ご注意下さい。

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ミーコ初登場

物語はいきなり、波溜 晴(なみだめ はる)の離婚から始まります。
「風王戦」というプロリーグに優勝するまでの道のりは妻とのすれ違いを生み、優勝して帰宅した日に離婚届を突きつけられます。
後日、離婚したショックで風王位をJMP(日本麻雀プロフェッショナル)に返還した波溜は、帰り道に専属プロも辞めようと所属していた雀荘に向かいます。
ここで最後の卓を囲んだ対面に、彼女は座っていました。

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ミーコの初登場シーン(表紙・目次・扉絵は除く)です。
表情豊かなミーコですが、最初は泣き顔です。
次のページではもう「悲しみ」「ドヤ顔」「怒り」といった多彩な顔で読者を楽しませてくれます。
この後しばらく「笑顔」が出てきません。
これは、作者がわざと「じらし」を意図したものなのかが気になります。

また、波溜がもしプロを辞めたあと、ミーコに出会わなかったらどうなっていたのかと思うと、ゾッとします。
すぐに、のたれ死んでいたのではないでしょうか。

ここでちょっとした小ネタを。
今後、波溜は何度もミーコにカフェで麻雀のレクチャーをすることになります。

最初にレクチャーをしたカフェの名前は「ELECT SHIYOLU CAFE」といい、看板のマークから考えても、下ネタかもしれません。
元ネタは、エクセルシオールカフェでしょう。

2回目と3回目にレクチャーをしたカフェは「STARBOOKS COFFEE」です。
これは、スターバックスコーヒーが元ネタに違いありません。

そして4回目以降、最後までレクチャーをするカフェは「BUTARSAX COFFEE」になります。

なお、夜のレクチャー(下ネタではありません)は、「偽りの愛」というバーでします。
こちらはレクチャーというより、反省会でしょうか。

以上、どうでもいい小ネタでした。

カフェでのレクチャーは麻雀戦術書である

ミーコは第1巻から最終巻まで、ずっとカフェで波溜から麻雀のレクチャーを受け続けます。
これは表向きは波溜がミーコに教えているシーンですが、じつは作者の片山まさゆき先生から読者への麻雀戦術書になっています。
真剣に読むと、1話ごとに何度も読み返すことになると思います。

最初のレクチャーなんて、「両面待ちは有利」というレベルです。
それでも、容姿で合格してプロになったミーコにとっては、とてもありがたいアドバイスでした。

次のレクチャーで「先手 良形 高得点の2条件がそろったら押す」「後手 悪形 安手の2条件がそろったら引く」というアドバイスを受けたミーコは、なんと8巡目にテンパイした国士無双を「後手 悪形」の2条件がそろったからとベタオリします(笑)

そんなレベルのミーコですが、素直な性格が幸いしたのでしょう。
まるでカラカラに乾いたスポンジが水を吸うように、波溜のレクチャーをどんどん身につけていきます。

「麻雀に三色はない 一気通貫も混全帯么九(チャンタ)もない あるのはリーチ・混一色(ホンイツ)・断么九(食いタン)だけだ」
という波溜の教えは、そこそこ麻雀に自信があった僕も衝撃を受けました。

平和(ピンフ)に関しても、「来てくれてありがたい役」という位置づけです。
そういえば、平和は1飜のわりに条件がやたらと多い役です。

もちろん、他の役を否定しているわけではなく、あくまでオマケの役。
オマケがつけば点数が爆発する。という意味です。

確かにそうなんですよね。
ドラも役牌もないチャンタや三色は、和了られても痛くも痒くもありません。

最終的には三色や一気通貫についてのレクチャーも出てきますが、物語が進むに連れて順を追って解説してくれるので、読者はどんどんミーコと自分を重ねあわせ、親近感を抱いていきます。

しつこいようですが、カフェでのレクチャーシーンは、何度でも何度でも読み返すといいです。
読むたびに新しい発見があるかもしれませんよ。

脇を固める女流プロたちの魅力

ミーコはもちろんのこと、他の女流プロたちの魅力も見逃すことはできません。
中でも印象的だったのは、11巻で大麻王位の決勝戦において波溜とミーコの間に談合があったのではないかとタイトル剥奪を迫られるシーンです。
それまではミーコに敵対心を持っていたような女流プロたちまでが全員、「丘葉さんのタイトルが剥奪されるようなら、JMPを辞めます」と言い切ったところは胸がスカッとします。

元アイドルという異色の肩書きを持ち、その名の通りナンバーワン女流プロの馬杉 寧香(うますぎ ねいか)、裕福な家庭に生まれたがゆえに両親から麻雀プロという仕事に理解を得られなかったが、繊細な打ち筋で風王位に輝いたこともある今井 恭子(いまい きょうこ)、波溜をミーコから奪おうとして失敗し、特にミーコに敵対心をむき出しにする反田 猟子(はんだ りょうこ)、無冠ではあるが女流プロのリーダー的存在で、アナログ対デジタルの戦いでは貫禄のある見せ場をつくった宝生 れいら(ほうしょう れいら)など、挙げていけばキリがありませんが、数多くの女流プロがただの脇役に終わることなく活躍しているのが、この漫画に厚みを持たせています。

個人的には鈴鳴 未里(すずなり みり)のポニーテールが好きです。
あと、犬吠崎 春菜(いぬぼうざき はるな)の鼻がどうしても気になります。
鼻水にしか見えないこともしばしば……。

男性陣も大活躍!

波溜の最大のライバルである我鷹 愁(がたか しゅう)。
事実上のJPMを掌握するトップであり、性格の悪さがクローズアップされるが、女流プロたちには尊敬されています。
波溜に対する数々のひどい態度も、元はといえば波溜に原因があると思われるので、雀力の高さに裏打ちされる暴君っぷりも、意外と組織のトップとして欠かせない人材といえるでしょう。

五条 豊(ごじょう ゆたか)の渋い役どころも見逃せません。
我鷹との果たし合いで誰もやりたがらない波溜とのコンビを進んで買って出るうえ、その理由が「そのうち俺がJMPのトップになる」という自信家です。
権威にも屈せず、自分の正しいと思った道を突き進むところも男らしいですね。
ミーコのことを「子猫ちゃん」と呼んでかわいがるところもありますが、恋愛対象としては見ていないようで、安心して見ていられます。

女流プロの存在そのものを目の敵にする存在館 有人(そんざいかん ありと)の存在感(?)も憎まれ役としていい味を出しています。
とくに最後に猟子に札束を叩きつけられるシーン。
このためだけに出てきたキャラだといっても過言ではありません。
最高にかっこいいです! 猟子が。

丘葉 未唯子という女

ところでミーコとはいったい、どんな女なんでしょうか。
作品中、ミーコの過去に関する描写は一切出てきません。

相手に対する気配りや思いやりがあるため、「不思議ちゃん」「天然キャラ」という枠には収まりません。

セレブぶちの回の食事会でも問題がなかったところから、テーブルマナーは習得していると推察できます。
出かける前に、息のニオイやファッションのチェックを姿見の前でキッチリするあたり、
ミーコの家庭環境は、そこそこ上流だったのではないでしょうか。

また、カラオケ店ではアイドルの曲を熱唱します。
お酒も一般的なレベルで嗜み、悪酔いするようなだらしなさもありません。

育ちの良さを鼻にかけるような性格の悪さもありません。
誰にでも分け隔てなく接する事ができます。

我鷹とホテルに泊まる際、同室になるのを必死に抵抗したこと。
本場七(ほんばなな)の執拗なラブホテルへの誘いに最初から最後まで抵抗したこと。
以上の点から、貞操観念もしっかりしている事が伺えます。

後ろから観る
波溜を見るミーコの表情!

これは物語序盤で、波溜の採譜係になったミーコが、波溜の打ち筋を目の当たりにするシーンです。
この真剣な眼差しは、恋?
いいえ、尊敬です。

おそらく外見では決して判断せず、尊敬できる何かを持った男性に惹かれるのでしょう。
波溜が羨ましいです。

ストーカー被害に遭った際も、泣き寝入りせずに自分で解決します。
正義感が強く、思っている事はハッキリと言います。

そして、これが最も重要なんですが、可愛いです。
完全に可愛いです。

表情豊かで愛くるしいミーコを見ているだけで幸せな気分になります。

丘葉 未唯子の成長

物語も後半になると、最初はド素人以下だったミーコの打ち筋も向上しています。
波溜を師匠と崇めて追いかけていたミーコですが、最終的には「師匠と一緒に決勝卓で打ちたい」と考えるところまでたどり着きます。
そのペースは、とてもゆっくりなものです。
しかし、確実に前へ前へと歩みを進めていきます。
そしてそれは、この作品の読者も同じです。

成長するだけではありません。

麻雀あるあるネタのひとつ

「麻雀に慣れてくると他家の打ち筋に不満を持つようになる」

という成長する際の弊害に対して警鐘を鳴らしています。

慢心したミーコを波溜が厳しく叱るシーンは、この作品の中でも格段に見応えがあります。

ロマンス

ロマンスというほど大げさなものではありませんが、波溜とミーコのつかず離れずの関係も見逃せません。
どちらかといえば、波溜よりミーコの方が最初から好意を持っていますね。

出会い

去ったミーコを連れ戻す

猟子との三角関係

プロポーズ

といった大きなイベントがありますが、どれもどこか甘酸っぱい、淡く繊細な描写です。

作者自身がミーコに恋をしていた説

この作品を読めば読むほど、作者自身がミーコに恋をしていたんじゃないかと考えてしまいます。

ああミーコ

キミに会えて本当によかった。

この作品を描いている間、僕はとても幸せだったよ。

連載中はミーコが可愛くて可愛くて仕方がなかったのではないでしょうか。
それを特に感じるのが、扉絵の数々です。

絵柄にはクセがあり、画力も高いとは言えないかもしれませんが、とても丁寧にミーコを描いているのが伝わってきます。

そんな扉絵より、魅力的なミーコの一部分を紹介します。

1
ダイナーの前でたたずむミーコ。
帽子がお洒落ですね。
これからデートなんでしょうか。

2
これは東京タワーでしょうか。
難しい構図だと思いますが、とても可愛いミーコですね。
スラリとした脚が素晴らしいです。

3
着物も似合うミーコ。
夏の縁側でのひとコマですね。

4
水着ミーコ。
これも難しい構図でしょうが、相当楽しみながら描いていたんでしょうね。
意外と胸もありそうなミーコです。

他にも可愛いミーコの扉絵が大量にありますが、全てを紹介するのも野暮というものです。
また、上に挙げたミーコの画像はトリミングしたものですが、1枚の完成した扉絵を見るとまた違う趣があります。

ぜひご自身の目で確かめてもらいたいところです。

まとめ

「打姫オバカミーコ」の感想を少しだけ書いてみましたが、いかがでしたか。
どうも僕の文章力だと、この作品の魅力を半分も引き出せていない気がします……。

というわけで、強引にまとめます。

麻雀のルールを知っている

初心者のレベルから抜け出したい

可愛い女の子の絵が大好き

このうち2条件がそろったら読め

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