麻雀漫画の金字塔! それは「ノーマーク爆牌党」だと断言してもいい!

漫画, 麻雀

今回は「ノーマーク爆牌党」という麻雀漫画についてちょっとだけ語ってみようかと思います。
かなり古い作品になりますが、僕が読んできた麻雀漫画の中では、間違いなくナンバーワンです。

極限まで単純化したあらすじを書くと

「鉄壁 保(てっぺき たもつ)という青年雀士が、競技麻雀のプロリーグで負け知らずの爆岡 弾十郎(ばくおか だんじゅうろう)に負けても負けても何度でも挑戦をしてついに……!?」

という物語です。
って、さすがに端折りすぎですね……。

あらすじや登場人物はこちらのサイトを読めば済むので、丸投げしてしまいます。

また、ここから先は思いっきりネタバレのオンパレードになりますので、ご注意下さい。



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爆岡弾十郎の立ち位置の変化

物語がかなり進んだところで爆岡が「麻雀に流れなんてない」と断言するシーンがあります。
しかし、第一話でいきなり「よし俺様の流れだ」と言っている点、あとがきで作者自身が「この作品は見切り発車」と述べている点。
ここから爆岡の作品内での立ち位置は、どんどん変化していったのだと想像できます。

初登場シーンでは麻雀をバカにするギャル(?)をパンチで吹き飛ばし、雀荘の看板を引っぺがして持ち帰ります。
読者は「イケイケの強い主人公が繰り広げるドタバタギャグ麻雀漫画なんだ」と思うでしょう。

たしかに途中まではそんな展開ですが、爆岡がプロになってから内容はガラッと変わります。
「爆牌」という一見不可解な打ち筋を武器に、あらゆるタイトルを総ナメにする爆岡。
彼を倒そうと色んなタイプの雀士が挑戦するという、シリアス本格麻雀漫画になっていきます。

漫画にはこういう事はよくあります。
ギャグからシリアスに転向する有名な例だと「キン肉マン」「ドラゴンボール」あたりでしょうか。

「ノーマーク爆牌党」も、このパターンがハマって名作になったのだと思います。

「爆牌」とはなんだったのか

この作品の核ともいえる「爆牌」ですが、結局最後までその正体は完全にはわかりませんでした。
おおよそのところでは「他家の余剰牌を引き出しロン和了りするための釣り餌のような捨て牌」といえるでしょう。
基本的には爆牌を鳴いてからの捨て牌が爆岡の当たり牌になるのですが、1巻では爆牌を鳴いてからの捨て牌を他家が鳴いて、さらにその捨て牌を鳴いた他家の捨て牌で爆岡がロン和了りするシーンもあり、爆牌の定義がまさに「見切り発車」だった事がよくわかります。
爆岡がロン和了りするまでに爆弾の導火線が短くなっていく描写もありました。

しかし物語も後半になると、爆牌のほぼ全てが「リーチ宣言時の捨て牌」になります。
これは、爆牌の凄みを演出するのに非常に効果的でした。

当時浪人生だった僕は、麻雀仲間たちと平日の昼間から雀荘にセットで入って「爆牌!」と叫んでタバコの煙を捨て牌に吹きかけてました。
みなさんもやっていましたよね?
わかります、わかります。

ベタオリする時も「爆守備!」とか言ってました。
みなさんもやっていましたよね?
わかります、わかります。

暗槓をしたら「爆テンパネ!」などと叫んでました。
みなさんもやっていましたよね?
わかります、わかります。

おっと、話がそれてしまいました……。

爆牌を打つには、他家の手牌を全て読み切る必要があるという設定も、後付けかもしれません。

爆岡自身がこう言っています。
「爆牌はピントを合わせる牌」だと。

そして物語終盤、鉄壁によって、爆牌には「本爆牌」と「ランダム爆牌」が存在すると見抜かれます。
ピントを合わせる(他家の手牌を完全に読む)ためにランダム爆牌を打ち、ピントが合ったら(他家の手牌が完全に読めたら)、本爆牌を打つ。

ランダム爆牌は、爆牌とはなにかを知ろうとする多くの雀士の目をくらます役割を果たしていました。
自分の理解を超えた範疇で行動する相手に、人は恐怖の念を抱きます。
ここに気づいた鉄壁がすごいですね。

「爆牌」とはなんだったのか。

それは爆岡による、対戦する雀士同様、読者をも手玉に取る不思議な打ち筋でした。

鉄壁保という努力の人

雀荘で出会った当時から鉄壁は、爆岡にキツい事を言われ続けています。

「見ろバカ みっともねえ」
「やっぱり おまえは そんなもんか」
「ツイてんのが おまえで よかったぜ」

何度挑戦しても鉄壁は爆岡に敗北してしまいます。
それでも鉄壁は決して諦めませんでした。

何度も負けている。
言い換えれば「挫折を味わっている」「打たれ強い」ということです。

過去の牌譜を読み、パソコンに記録する。
様々な仮説を打ち立て、検証する。

まさに努力の人です。

最終的に鉄壁は爆岡を倒します。
そこまでの描写が本当に面白いです。
とくに単行本8巻あたりから最終話までの闘牌シーン、途中で読むのをやめさせないスピード感と臨場感があります。

もともと「爆守備」という防御主体のスキルを持っていた鉄壁ですが、打倒爆岡の研究をしているうちに「色の支配」というスキルも身につけます。
「色の支配」とは簡単にいえば、萬子・筒子・索子・字牌をどんなによく混ぜたところで、必ず山には偏りが生じるという理論で、「このあたりには萬子が固まっている」「この手牌はここから筒子が伸びる」などを高度に進化させたものです。

そしてこれは、麻雀を打っている人なら誰でも意識したことがある、いわゆる「流れ」以外の何物でもありません。
爆岡の「麻雀に流れなんてない」に、真っ向から対抗する考え方です。

爆岡と鉄壁の死闘

爆岡は、かなり早い段階で鉄壁に爆牌の全貌を把握されたことに気づいていたのではないでしょうか。

単行本9巻の107ページの爆岡の笑み。
この冷たい微笑が「ようやく俺様と同じ土俵に立つ奴が現れたか。それがお前でよかったぜ」と語っているように思えます。

そしてその直後に鉄壁の裏をかいてロン和了りした爆岡の不敵な笑み。
ここで以前のように怯まない鉄壁。

この瞬間、爆岡と鉄壁が技術的にも精神的にも並んだのです。

そして9巻の238ページです。

爆岡最後の笑み。
爆岡最後の爆牌。

「麻雀に流れなんてない」と主張する爆岡が「流れ」により、鉄壁の当たり牌をつかみ放銃します。

このシーンのなにか圧倒的なものが押し寄せてくる感じ。
当たり前ですが、読んだ人にしかわかりません。


脇を固める名脇役たち

「ノーマーク爆牌党」には、名脇役がやたら多く登場します。
物語に厚みを持たせるのに成功しています。

当 大介(あたり だいすけ)

なんといっても「爆役満」という謎スキルが最初から最後まで魅力的だった。
麻雀を覚えたての人でも疑問に思うような打ち筋だが、とにかく役満を和了る回数が尋常ではない。
物語に波乱を起こすという意味では最高の立役者。

九蓮 宝燈美(ちゅうれん ぽとみ)

作品中に直接的な表現はないが、鉄壁のことを慕っているヒロイン的存在。
どんなに落ちているときでも決して鉄壁のことを見捨てずに、爆岡を倒すのはこの人だと信じていた。
なかなかできることではない。
こういう女性と結婚したいものだ。

八崎 真悟(やつざき しんご)

あとがきで作者が「助演男優賞をあげたい」としたためたほど、物語後半で大活躍した。
最終的に爆牌のシステムに気付いたようだが、自身のポリシー「伝説をつくる」を優先したため敗北した。
「リードは守るものではない 広げるものだ」は名言。

茶柱 立樹(ちゃばしら たつき)

9巻での、八崎に背後から忍び寄ってくるシーンの描写が読む者を震わせる。
その前にボロボロになった茶柱が「自分が勝つ可能性は1%しかない」と悟ったシーンが印象的。
最後に八崎からロン和了りした倍満は、茶柱の「あとはお前に任せた」と鉄壁に向けたメッセージのような気がしてならない。


他にもたくさん名脇役がいるんですが、そこは読んだ方々にお任せしたいと思います。

あらためて爆岡弾十郎

最初は自信のカタマリだった爆岡ですが、物語中盤以降は女性相手に不安を打ち明けたりします。

敗北を知らないというのは、いざ負けた時に自分がどうなってしまうのか想像もつかないということです。
爆岡は勝ち続けることでしか自分を保っていられなくなっていきます。

序盤はオラオラ口調だった爆岡も、終盤にはセリフがほとんどなくなります。

孤高の天才。

対局中、鉄壁に対して不敵な笑みを浮かべたのは、爆岡なりのSOSサインだったのかもしれません。
もし爆岡が鉄壁や大介あたりとつるむようになったら、とても楽しいことになっていたのではないでしょうか。

鉄壁に敗れた爆岡は、それ以降、完全に音信不通キャラの扱いでした。

麻雀を完全に引退したのか。
裏社会で代打ちとして活躍しているのか。
もしくはプライドの高さゆえ、自殺してしまったのか。

爆岡は、最初から最後までミステリアスな存在でした。

おわりに

ちょっとのつもりが長々と書いてしまいましたが、僕には「ノーマーク爆牌党」の魅力を伝える能力が足りていない気がしてなりません。
全9巻ですが、闘牌シーンは何度もページを前後して読むことになるので、電子書籍より紙の本がいいかもしれません。
また、ある程度は麻雀を知っていないと内容がまったく理解できない可能性があるので、万人におすすめできる漫画ではありません。
まずは麻雀を知ってほしいです。
そして読んでほしいです。

それくらい魅力的な麻雀漫画です。
もうはっきり言ってしまいましょう。
「ノーマーク爆牌党」を知らない人は、人生を損しています。

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Posted by kukoshakaku